ポケモン×工芸展

 先日「ポケモン×工芸展 美とわざの大発見」に赴きました。
 最初の石川開催が発表された時からずっと行きたいと思っていたものの、なかなか遠方まで足を運ぶことができずにいました。今回の東京開催が発表された時はとても嬉しかったです。

 そんなわけで、喜び勇んで行ってたレポ的日記です。
 会場内は基本的に撮影可でしたので、ひたすらカメラ構えながら見て回っていました。ありがたすぎ。でもさすがに全作品の感想を書くとえらいことになるのと、実物を見てほしい思いがあるのとで、厳選して語ります。時間が許すならば、ぜひ東京会場や今後の巡回会場へ行ってみてください。

記事中、各作品の作家名は敬称略記載しています

ポケモン×工芸展東京会場入り口の写真。フシギバナ、シェイミ、サンダースの3作品が写った大きな看板がある。
いりぐち

 はじめに印象的だったのは、東京会場から新たに追加展示となった吉田泰一郎作《ミュウツー》です。
 まず展示の仕方がかっこいい! 正面から向けられた照明がミュウツーの背後にそのシルエットを作り出し、最強のポケモンという威厳を表しているようです。これはもう真正面から対峙してみろと言われています。

 ちょうど私の後ろから来ていたお客さんが、ミュウツーを見た瞬間「いたよ俺の一番好きなポケモン!」と弾んだ声で言っていました。自分が大好きなポケモンがこんなかっこいい作品になってかっこいい展示されてたらそりゃテンションも上がりますよ。
 ちなみに、工芸展なので厳かな空気がないわけではないのですが、ポケモンということでけっこう老若男女みんなワイワイ回っていました。「ポケポケで強い」とか最新の話題も聞こえたり。

 このミュウツー、小さな銅片がびっしり表面を覆って形作られているんですが、そのひとつひとつがただの破片ではなく、ポケモンやタイプのモチーフの形をしているんですね。

 ミュウとミュウツーの背景を汲んでの表現なんだろうけど、に、にくいことをする……! 確認できたものだとジュラルドンやブリガロン、ハッサムとかもいたと思います。

 なお、記事を書くのに作者名確認しようと図録を開いたところ、東京会場追加展示ゆえにこのミュウツーが図録に載っていないことに気がつきました。なんてこと。ぜひ現地で見てください。
 この図録もなかなかやばくて、本文のゴールド・シルバーインク印刷のみならず小口染めまで銀色のハードカバー豪華装丁です。ページ捲ってると手に銀粉がつくぞ。

 お次はこれ。

 ポケモン×工芸展のなかにあって、この異質な佇まい。わざ「かげうち」を表現した作品です。
 あらゆるポケモン、わざのなかから、この作家が表現しようと選んだのが、かげうち。そして実際にできあがったのがこれ。かっこよすぎでは……?

 漆黒という言葉の通り、漆塗りでつくられたものだそうです。この作品だけ単体で区切られたスペースに展示されており、空間の真ん中でぬるりと地面からのびる影は、不気味ながらもじっと見つめていたくなるものでした。

 ところで私ポケモントレーナーとしてはシャンデラを相棒として掲げているんですけど、シャンデラもかげうち覚えるんですよ。
 そしてこの日もシャンデラ連れて行ってました、ポケモンfitシリーズのぬいぐるみを。展示スペースにちょうど他の見学者もいないタイミングで、嬉々として撮りました。シャンデラがかげうち撃ってる写真。最高。ありがとうございました。
 見返したら漆に反射して自分も写り込んでたので載せませんが。

 こちらは坪島悠貴作《可変金物 ココガラ/アーマーガア》です。たしか、最初にこの企画展が発表された時に紹介されていた作品のひとつだった記憶があります。作家の技巧と、ポケモンの進化という特徴が合わさった、ポケモン×工芸展を象徴するような一作です。

 作品自体がかっこいいのは言わずもがななんですが、近くで見ていた少年が
「ほんとはさーこいつ(ココガラ)ってたねポケモンでさ、こいつ(アーマーガア)になる前にアオガラスがいるんだよ」
と母に熱弁していたのが耳に入り、内心激しく同意していました。
 わかる。2進化ポケモンだもん。アオガラスにも変形してほしいよな。めっちゃわかる。

 この少年に限らず、ある人は強さで語り、ある人は可愛さで語り、その人のなかにある思い出を語り……展示を見る人たちの中にそれぞれのポケモン像があるのだと、交わされる言葉を聞きながら思いました。月並みですが、いいよね。

 ということで、ポケモン×工芸展レポでした。とても充実した時間でした。後期もぜひ行きたいです。後期だとコラボカフェのメニューがシェイミなんですよ。食べたいシェイミ。

 おまけの相棒一家。

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